プログラミング教育以外にもITリテラシーを良くする方法はないのかしら?
じゃあ今日は子どものITリテラシーが自然と高くなるような家の環境づくりについてお話しするよ。
IT知識の低さが情報格差や詐欺被害につながることもあり、子どもの将来を考えると少しでもITリテラシーが高くなるよう仕向けたいと考える親御さんもいるでしょう。
今回は 子どものITリテラシーを高める間接的な方法をお教えします。
家にある本の数でITスキルが決まる?
今、ご自宅に紙の本が何冊ありますか?
2018年秋、学術誌「ソーシャル・サイエンス・リサーチ」で発表された内容は、 子どものころ家に本が多くあるほど、大人になってからの読み書き能力、数学の基礎知識、ITスキルが高くなるというものでした。
これは、オーストラリア国立大学と米ネバダ大学の研究者たちが行なった調査で、2011年から2015年に、31の国と地域で、25~65歳の16万人を対象にして行なわれた「国際成人力調査」のデータを分析した結果です。
この調査では、16歳の時に家に何冊本があったかを自己申告し、その後に読書き能力・情報通信技術(ICT) ・数字 のテストを実施しました。
その結果、
・本の数とテストの結果が比例する
・80冊ほどでテストが平均的な点数になった
・ただし350冊以上になると、テストの結果が高止まりした
ということが分かりました。
本に囲まれるのは大学に行くのと同じくらい効果がある
この研究結果で興味深いところは、国語能力(言葉の読み書きなど)だけでなく、数学やITスキルの能力も高くなるということです。
「子どもの頃に自宅で紙の本に触れることで、一生ものの認知能力を高めることができる」
として、 読み書きや数学の基礎知識において、子どもの時に本に触れることは教育的な利点が多いと研究者たちは述べています。
また、学歴も考慮して結果を分析すると、中学卒業程度(13〜14歳)で本に囲まれて育った人の学力は、 大学卒業程度でも本に囲まれないで育った人の 学力と同程度(平均程度)でした。
学力 | 学歴と本の有無 |
---|---|
高い | 「大卒」かつ「本に囲まれる」 |
平均的 | 「大卒」かつ「本に囲まれていない」 |
平均的 | 「中卒」かつ「本に囲まれる」 |
低い | 「中卒」かつ「本に囲まれていない」 |
本に囲まれて育つという環境は、大学に行かすのと同じくらい学力向上につながるのです。
せっかく苦労して大学に行かせても、本が無い環境だと平均的な学力しか得られない可能性が高いというのは衝撃的ですね。
子どもに本を読ませる必要は無い
さらに驚くべきことは、 学力向上のために 必ずしも子どもが 家にある本を読む必要はないということです。
今回の研究結果では、家に本がたくさんありさえすれば学力が高くなっており、本を読んでも読まなくても効果は変わらなかったそうです。
「ただ本をたくさん読みなさい」というシンプルな話ではなく、大切なのは「子どもたちが、親や他の人たちが本に囲まれている様子を目にすること」だとされています。
普段から親が本を読んだり勉強をしていれば、子どもにとってはそれが当たり前になり、自然と自分も同じことをするのだと思います。
逆に、親がいつもテレビやゲームをしていれば、子どもは自然と勉強から離れていってしまうでしょう。
つい子どもに勉強をするよう命令してしまうのですが、「一緒に勉強しない?」「本読まない?」など自らも勉強する姿を見せ、手本となることが重要ではないでしょうか?